
2021年のモバイルゲームビジネスは、iOSのアップデートや、パンデミックの影響を受け続けている消費行動、刻々と変容する規制状況など、非常に大きな変化を経験しています。
ここでは、アプリ収益化の現状と将来について詳しく考察し、将来のプレイヤーファースト体験に関するアイデアを提案するとともに、ゲームの成長と収益化を目指すゲームパブリッシャー、開発者、マーケターに向けたアドバイスを提言します。
さらに、アドテクの経営幹部、業界アナリスト、ゲームパブリッシャーなど、25人のオピニオンリーダーへのインタビューを基に、将来の成長に備えて今最も優先的に取り組むべきことをご紹介します。
大多数のモバイルゲームビジネスが、アプリのマーケティング、収益化、効果測定の方法を調整することを余儀なくされています。今日の業界全体に共通するテーマをいくつか示します。

多くのゲームビジネスは、今日の業界の変化を利用して、プレイヤー、パブリッシャー、広告主にとって有益な未来を創り出そうとしています。
「将来を楽観視する声をよく聞きます。アプリビジネスモデルは現在の市場原理に即したものへと進化しています」(Meta Audience Networkビジネスプロダクトマーケティングリード、Suzy Hay)
エコシステムの変化にもかかわらず、モバイルゲームは成長を続けています。調査会社のOmdiaは、ゲームでのアプリ内広告収入は2021年に21.3%増加し、今後もさらに成長すると予想しています¹。
「変化が新たな機会をもたらしています。これを活かせるかどうかは、ビジネスがどれだけその変化を受け入れ、競争上の優位性を築く新たな方法を見つけようとしているかにかかっています」(Glu Mobile、成長部門担当シニアバイスプレジデント、Becky Ann Huges氏)
2020年の記事で触れたように、ゲームパブリッシャーは世界中のあらゆるプラットフォームで入札とハイブリッド収益化への移行を加速させています。十数社のパブリッシャーが、ウォーターフォールから入札への移行によって収益の増加と時間の節約という成果を挙げたと報告しています。
パブリッシャーが2021年以降もMeta Audience Networkで収益化を続けるためには、入札はもはや必須となっています。
パブリッシャーの成功に欠かせないもうひとつの要素は、アプリ内購入(IAP)とアプリ内広告(IAA)をバランスよく組み合わせた収益化戦略です。多くの開発者が、最初からゲームに広告を組み込むことで最高の結果が得られると確信しています。
「収益化モデルを多様化することが重要です。そうしなければ、ゲームの世界的な影響力が限定的になりかねません。最適なハイブリッド実装では、ゲームデザインそのものにさまざまな収益化の流れが組み込まれています」と、Newzooの市場分析責任者であるCandice Mudrick氏は述べています。
2022年には、イノベーションによってアプリのエコシステム全体の価値がさらに高まります。プレイヤーは引き続き動画リワードのような高品質の広告に価値を見出します。開発者がモバイルやクラウド上のゲームにLive Ops機能を取り入れることで、ゲームのソーシャル化がさらに進みます。パブリッシャーは、アプリ入札の加速によって、さらなる効率化と収益向上を成し遂げられる可能性があります。そしてゲームのマーケターは、業界で効果測定とクリエイティブが進化したことを実感するはずです。
クラウドへの移行により、プラットフォームを横断したプレイやアプリ間での共有が可能になります。これにより、ネイティブゲームアプリにバイラル拡散の力がもたらされ、新規プレイヤーと既存プレイヤーのエンゲージメントが高まります。例えば、Facebookのプラットフォームでは、すでに開発者によるインスタントゲームの開発が行われています。これらのゲームはダウンロードの必要がなく、わずかな手間でプレイできるため、クラウドゲームへのスムーズな進化が可能になります。
「同じクラウドプラットフォームですべてのゲームを試してみてから、気に入ったゲームだけをスマートフォンにダウンロードできるとしたらどうでしょう」と、Facebookのプレイ部門担当バイスプレジデントであるJason Rubinは問いかけています。「クラウドプラットフォームでもアプリ内でも、同じゲームのアプリ内購入にアクセスできるようになります。また、開発者にとっては、購入から得られる収益が増加するため、収益化がさらに進むという効果があります」
2022年も、アプリパブリッシャーはアプリ入札がもたらす効率化によって、より多くの時間を節約できるでしょう。パブリッシャーは、ウォーターフォールを管理するために複数の国の最低価格を確認する代わりに、すべての国とすべてのユーザーに適用されるすべての配置を確認できるようになりました。開発者は、節約した時間を利用して、さまざまな動画リワードのエントリーポイントやフリークエンシー、その他の収益化戦略をテストできるようになります。
成功しているゲームビジネスのほとんどは、バランスのとれたアプリ経済をゲームに組み込むことの価値をすでに理解していますが、さらに多くのビジネスが、チームを変革してユーザー獲得、収益化、開発を1つのプロセスに融合するようになるでしょう。構築してから収益化するという時代は終わり、収益化を最初から要素として組み込むことが一般的になっています。
また、2022年までに、ゲームマーケターにはさらに多くのチャンスがもたらされます。クリエイティブ、ユーザー獲得、メディアミックスモデリングへの注目度が高まることが予想されます。
「広告主は、人々がゲームをプレイする動機とゲームの中で彼らが期待している体験をうまく活用する必要があります」と、グローバルゲーム部門担当バイスプレジデントのRick Kelleyは述べています。「効果測定も引き続き進化していくでしょう。広告主にとっては、利用者が広告を見るのに費やしている時間、閲覧者やプレイヤーに関する情報、ユーザー獲得数を増やす方法、広告視聴からより多くの利益を得る方法を把握できることが重要であるためです」
さらに先の未来には、ますます大きなチャンスが待っています。ゲーム、エンターテイメント、コマース、ソーシャル体験を統合したバーチャルリアリティ環境で、利用者がブランドやパブリッシャーと非常にパーソナルなエンゲージメントを築いていくことが予想されます。例えば、拡張現実やパーソナライズされた広告が将来のゲームでどのような役割を果たせるのか考えてみましょう。

「将来的には、拡張現実を活用するゲームや、収益化戦略に影響を与えるインタラクティブなゲーム体験が増えると予想しています」(Admost、COO、Aysegul Yildirim氏)
「メタバースではパフォーマンス広告が大きく変わります。コルベットを試乗するのではなく、Oculusヘッドセットを装着して運転し、その報酬としてNFTをダウンロードできるようになります」(Tapjoy、グローバルデベロッパーリレーションズ部門担当エグゼクティブバイスプレジデント、Ben Chen氏)
将来の可能性について見てきたところで、いくつかのアドバイスがあります。アプリビジネスの将来に備えるために、あなたがすべきことは何でしょうか。
上記のインタビューをまとめると、注力すべき領域は以下の3つです。

入札への移行など、広告運用の効率を高める機会を探ります。また、アプリをインストールする際の手間をできる限り排除します。

コンテンツの質を重視することで消費者との信頼関係を構築します。ソーシャル機能を組み込んで、ゲームに留まらない幅広いオーディエンスにアプローチしましょう。また、プレイヤー体験を重視してください。

収益化、獲得、開発の各プランを統合します。パーソナライズされていない広告体験を構築します。IAP、IAA、サブスクリプションなどにわたって収益化を多様化させます。
Facebook GamingとMeta Audience Networkは、ゲームの構築、収益化、持続的な成長を目指すゲームビジネスのために、インスタントゲーム、クラウドゲーム、アプリ内広告、Advantage+ アプリキャンペーンなどのエンドツーエンドソリューションを提供しています。
2022年以降の成長に備えて自社のゲームをどう位置づければよいかについて、詳しいインサイトとアドバイスを確認するには、アプリ収益化の業界展望レポートの全文をダウンロードしてください。
¹出典: Omdia「App Ecosystems Forecast」(2020年12月24日)
最新のインサイトや情報、最適化に関するアドバイスをメールでお届けします。